ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン

ゲームというものをリソース管理の側面から掘り下げている

この観点は、レベルデザインを学ぶためには必須


以下、自分用読書メモ


  1. 「ゲームメカニクスのデザイン」
  2. 「創発型と進行型」
  3. 「複雑系と創発型の構造」
  4. 「内部経済」
  5. 「マキネーション」
  6. 「一般的なメカニズム」
  7. 「デザインパターン」
  8. 「ゲームのシミュレーションとバランス取り」
  9. 「経済の構築」
  10. 「レベルデザインとメカニクスの統合」
  11. 「進行型のメカニズム」
  12. 「意味のあるメカニクス」

第1章「ゲームメカニクスのデザイン」

・用語の解説
・ゲームデザインの概要


☆「メカニクス」

本書ではゲームルールのこと


☆メカニクスの例

「物理」...ニュートン力学とか

「内部経済」...リソース(お金、エネルギー、弾薬)などにかかわるもの

「進行型のメカニズム」...ステージ、マップとか

「戦術的な操作」...タイル上の配置とか

「社会的インタラクション」...PvP,招待,協力プレイ


「離散的メカニクス」...整数値で表せるもの、内部経済とか

「継続的メカニクス」...アナログに見えるもの、物理とか


☆ゲームデザインプロセスの概要

1.コンセプトステージ

  • ゲームの基本的なアイデア、ターゲットとなるユーザー、プレイヤーの役割を決める
  • これらの重要な決定は、その後のデザインプロセスで変更すべきではない


2.推敲ステージ

  • ゲームメカニクスとレベルの作成
  • ストーリーの起草、アイデアセットの作成


3.チューニングステージ

  • 仕様の凍結から始まる
  • 開発期間全体の1/3から半分を占める


第2章「創発型と進行型」

・用語の解説
・創発型と進行型の比較

創発型

プレイヤーの自由意志とデザイナーの制御がバランスを取る形

複雑さは膨大なルールによってではなく、わずかなルール同士の相互作用によって生み出されるべき

進行型

多くの事前設計されたチャレンジを提供する


※現代のゲームにおいては大体がハイブリッド。


第3章「複雑系と創発型の構造」

ゲームは予測不可能な結果を生成できる複雑系であるが、その一方で自然なユーザー体験をもたらすように設計を十分に練る必要がある。そのためゲームデザイナーは一般的な創発系の振る舞いの性質を理解し、さらにゲームにおけるこの特性を頭に入れておくべきである。


創発性をもたらす複雑系の3つの構造的特徴

  1. 活動的で相互接続したパーツ
  2. フィードバックループ
  3. 異なるスケール感のインタラクション


☆フィードバックループ

・システム内の1パーツの変化の影響が、後になって元のパーツに跳ね返ってくるもの


ネガティブフィードバックループ - バランスが保持される

eg.

  • 食物連鎖のピラミッド
  • RPG:レベルが上がるごとに大きな経験値が必要になる
  • レースゲーム:ラバーバンド効果


ポジティブフィードバックループ - 影響が増幅される

eg. 

  • スピーカーとマイクを近づける
  • チェス:相手のピースをとったら有利になりさらにピースを取りやすくなる

第4章「内部経済」

ゲームの内部経済をデザインするには、まず主なリソースを見分けるところから始めるといい
・リソース、エンティティ
・メタ経済構造
・リソースに影響を与える4つの経済メカニクス

☆リソース

  • 数値で計測できるすべての概念を指す
  • ただし足場、壁のようなものはリソースでない
  • 物理的な特性の有無で有形リソースと無形リソースを区別すると便利なときがある


☆エンティティ

  • リソースの入れ物、プログラマにとっての変数のような


☆メタ経済構造

  • 特定の組み合わせが効率がいいと、プレイヤーはそれに厳密に従おうとしてしまう
  • 対処法として、ゲーム初期に効率的であったパターンを後半ではなくすとか


☆リソースに影響を与える4つの経済メカニクス

①ソース

新たなリソースを0から生み出す機能

一定時間で自動的にヘルスが回復するのもこれに含まれる

②ドレイン

ソースの反対、リソースの消去

③コンバータ

リソースの変換、同エンティティ内

木を木材に変えたり

④トレーダー

別のエンティティへのリソースの移動

お金でアイテムを買ったり


第5章「マキネーション」

ゲームメカニクスと経済を視覚的にシミュレートできるツール「マキネーション」の紹介、チュートリアル
これまでに定義・説明されてきた言葉がツール内の機能として用いられている

第6章「一般的なメカニズム」

重要な2つのメカニクスツールを紹介
・フィードバックループ
・偶然性


☆フィードバック

7つの特性の紹介

☆偶然性

以下のようなパターンに有効

  • プレイヤーに即興を強いる
  • 絶対優位の戦略に対抗する

第7章「デザインパターン」

これまで定義・説明した語句を用いてゲームデザインのパターンを解説する


主なデザインパターン

カテゴリー : エンジン(リソースの生産)

・スタティックエンジン

プレイヤーがゲーム中に消費または収集するリソースの安定したフローを生成

デザインを複雑にせずにプレイヤーのアクションを制限したい場合に用いる

プレイヤーは、長期計画の必要性はないものの、リソースの使い方を考える必要に迫られる

eg.パズドラのスタミナ


・ダイナミックエンジン

調整可能なリソースのフローを生成

プレイヤーはリソースを投資に回してフローを調整できる

長期の投資と短期のリターンの間のトレードオフを導入してい時に用いる

eg.白猫の金鉱


・コンバータエンジン

ループの中にコンバータが2つあるパターン(ダイナミックエンジンでは1つ)

より複雑なメカニズムを構築したい場合


・エンジン構築

ゲームプレイのかなりの部分がリソースの安定的なフローを生成するためのエンジンの構築とチューニングに使われる

建設や構築にフォーカスしたゲームを作成したい場合に用いる

eg.ランブルシティ


カテゴリー : 摩擦(リソースのドレイン、生産の低下)

・静摩擦

リソースを自動的に消費し、消費速度は他の要素の影響を受けない

以下のような場合に用いる

・リソース生産を抑えておき、最終的にはプレイヤーが克服可能なメカニズムを作りたい

・ダイナミックエンジン用のアップグレードに投資して得られる長期的メリットを誇張したい

eg.バトガの制限時間


・動摩擦

リソースを自動的に消費し、消費速度は他の要素の影響を受ける

以下のような場合に用いる

・リソースの生産が早すぎるゲームでバランスをとりたい

・生産の逆の効果を生み出し、自動的にプレイヤーの進行度やパワーに対応するメカニズムを作りたい

・知的戦略を優先するため、ダイナミックエンジンによって作られる長期的な戦略の効果を削減したい


・停止メカニズム

形式的な経済では収穫逓減の法則として知られる

アクティブ化されるごとに特定のメカニズムの効果を削減する

以下のような場合に用いる

・特定のアクションをプレイヤーに乱用させないようにしたい

・絶対優位の戦略を逆効果にしたい

・ポジティブフィードバックメカニズムの効果を低減したい


・アトリション(消耗)

他のプレイヤーのリソースを積極的に盗んだり破壊したりする

以下のような場合に用いる

・複数のプレイヤー間で直接的で戦略的なインタラクションを許可したい

・プレイヤーの戦略的な好みや気まぐれで性質が決まるシステムにフィードバックを導入したい

eg.Crush of Clans


カテゴリー : エスカレーション(難易度の上昇)

・チャレンジのエスカレーション

ゴールに近づくほどその先に進むのが難しくなる

以下のような場合に用いる

・プレイヤーのスキル(反射神経、思考力など)に応じたテンポの速いゲームで、プレイヤーが前進するごとに難易度を上げたい

・あらかじめデザインしたレベル進行を置き換える創発性メカニクスを作成したい


・複雑度のエスカレーション

プレイヤーがゲームを制御して以降をしようとし続ける限り、ポジティブフィードバックにより複雑度を増大させる

以下のような場合に用いる

・プレッシャーの高いスキルベースのゲームを作りたい

・あらかじめデザインしたレベル進行を置き換える創発性メカニクスを作成したい


・軍拡競争(アームズレース)

プレイヤーはリソースを投資して他のプレイヤーに対する攻撃力や防御力を強化する

以下のような場合に用いる

・アトリションパターンを使うゲームに、さらに戦略的なオプションを作りたい

・ゲームのプレイ時間を長くしたい(恐らくプレイウィンドウのこと)


その他のパターン

・プレイスタイルの強化

プレイヤーの行動にポジティブで建設的なフィードバックを徐々に適用することにより、ゲームはプレイヤーの好みのプレイスタイルに次第に適応していく

以下のような場合に用いる

・複数のセッションにまたがるゲームで、プレイヤーに長期の投資をさせたい

・プレイヤーが事前の計画及び個人的な戦略を立案することに対するリワードを提供したい

・プレイヤーに特定の戦略に没頭したり、ある目的になりきったりしてもらいたい(mimicryによる没入感のこと?)


・複数フィードバック

単一のゲームプレイのメカニズムが、それぞれ異なるプロファイルを持つ複数フィードバックメカニズムに送られる(複数フィードバックの説明で複数フィードバックって言葉使っちゃダメでしょ)

以下のような場合に用いる

・ゲームの難易度を上げたい

・プレイヤーが現在のゲーム状況を読む能力に対するリワードを提供したい


・トレード

プレイヤー間の取引を可能に

以下のような場合に用いる

・ネガティブで建設的なフィードバックを導入したい

・プレイヤーに商取引を通じて交流することを促す、社会的な仕組みを導入したい


・ワーカー配置

プレイヤーが異なるメカニズムをアクティブ化したり改善したりしなければならない時の制御に用いる

ワーカーは限られたリソース

以下のような場合に用いる

・プレイヤーのタスクとして、継続的なマイクロマネジメントを導入したい

・変化する環境にプレイヤーが適応するように促したい

・成功のための戦略に、重要な要素としてタイミングを組み込みたい

・間接的な競合のための、巧妙なメカニズムを作りたい

eg.白猫の大工ほしたぬき


・スローサイクル

異なる状態の間をゆっくりと循環するメカニズム

断続的な変化を生み出す

以下のような場合に用いる

・ゲームに断続的なフェーズを導入することでバリエーションを増やしたい

・絶対優位の戦略の影響力を抑制したい

・環境が変化し続けることに対して、プレイヤーが断続的に戦略を適応するように強制したい

・ゲームに精通するまでに必要な収得の期間を長くしたい

・プレイヤーがサイクルの長さや大きさを操作できるようにすることで、戦略的なインタラクションを導入したい


デザインパターンの活用

・組み合わせ

通常は組み合わせて用いる、相性の良いものの記述が付録Bにある


・緻密化(<=>単純化)

複雑度が調節できる

重要でない部分は単純化したり

以下は緻密化の過程

スタティックエンジン→ダイナミックエンジン→エンジン構築パターン→ワーカー配置パターン


・拡張

パターンは時代とともに追加されていく

新しいパターンを見つけたら、それを汎用的な言語で説明しようと試みることが重要!


第8章「ゲームのシミュレーションとバランス取り」

マキネーションに人工プレイヤーを定義する手法の解説

第9章「経済の構築」

プレイヤーに経済を提供するゲームではなく、プレイヤーが経済を構築するゲームの検証
シーザーⅢ、ルナ・コロニーという2つのゲームを用いて解説している

第10章「レベルデザインとメカニクスの統合」

・ゲームを通じて進行状況を測る方法

・プレイヤーがゲームの遊び方を学習する過程

・ミッションによる進行とゲーム空間(世界観、レイアウト)によるレベルデザインの違い(*これらを分割しておくことで後々便利とのこと)


進行の構造化

・タスクの達成を通じた進行

自由選択のタスクを進行していく


・目標までの距離としての進行

進行具合のフィードバックが離散的でないとき。

創発型の場合、プレイヤーは後退を体験できる


・キャラクターの成長による進行

ゲームの終了目標を持たないMMORPGなどに見られる


・プレイヤーの成長による進行

アクションアドベンチャーゲームに見られる

学習本能に働きかける


第11章「進行型のメカニズム」

進行型のメカニズムをより創発的にする2つのアプローチ
・伝統的なロック&キーメカニズムを動的にする
・従来の進行型の観点を破棄し、より抽象的な観点で進行型の概念を組み立てる

・ロック&キーメカニズム

ゲームを進めた手応え、達成感を与える

プレイヤーがキーより先にロックを見つけることが好ましい

ほとんどフィードバックループを持たない

コアメカニズムと相互作用するロックとキーを発明しなくてはいけない

自分のゲームに適切なメカニズムを考え出すことに苦労している時、ロック&キーメカニズムのカタログを見ることは非常に有用


・ロック&キーメカニズムを動的に拡張

キーを動的エンジンにし、キーを奪うエネミーを動摩擦として導入するなどの例が挙げられている


・ゲームプレイのフェーズ移行に用いられるデザインパターン

  1. スローサイクル...他のパターンほどはイベントをドラマチックに提示しない傾向がある
  2. 静摩擦/スタティックエンジン...静摩擦の頻度が低く、かつ影響が大きい場合にフェーズ移行に用いることができる
  3. 複雑度のスカレーション...テトリス:複雑度が閾値を越えると破壊的なポジティブフィードバックが働き、プレイヤーは負けのフェーズに入る
  4. 停止メカニズム/複数フィードバック

第12章「意味のあるメカニクス」

単なる娯楽ではなく、プレイヤーにメッセージを伝える手段としてのゲーム(特にメカニクス)を考察
・シリアスゲーム
・ゲームという媒体の特性
・意味に複数のレイヤーを用意する

・シリアスゲーム

問題を解決するゲーム。

ゲームが軽いエンターテイメント以外の目的で使えるという認識に立って作られた言葉

ゲーミフィケーションに通ずる

ゲームという媒体には新聞、映画などに比べ、メカニクスを通じてコミュニケーションが取れるという特性がある

プレイヤーに行動させることが出来る

人は自分で手に入れた情報に拘りがちになるとか、そういう面もあるかも?


・シミュレーション

科学においては制度が重視され、ゲームにおいては抽象化(排除と単純化)を行った面白さが重視される

シリアスゲームはこの中間。伝いたいメッセージに関連するメカニクスを抽象化すると、受け手に伝わらない部分が出てくる


意味の複数レイヤー

シェイクスピアの例

誰もが理解できるロマンス、ドラマ、ユーモア、そして悲劇がある=>一般大衆受け

社会的、政治的な問題に言及していることも多い=>社会的、政治的なエリートにも人気

複数のレイヤーを作る利点

  • 多くの人に幅広くアピールできる作品になる
  • 受け手が作品を別の方向から見ることを促す
  • 意味のレイヤー間の堆肥や矛盾が、ユーモアや風刺の機会を生み出す


バイオショックの例

  • 物理レイヤー:他のことを全て無視して自由にアクションを楽しめる
  • 道徳的レイヤー:登場する無邪気なキャラクターを傷つけないようにすることで違ったエンディングが見れる
  • 審美的レイヤー:アートが非常に素晴らしく、大型の豪華本として出版もされている
  • 政治的レイヤー:客観主義哲学の風刺

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